再発転移治療中の腎がん患者会avec(アベク)
勉強会まとめ「患者・医療者による共同意思決定」
~アンケート調査研究から考える患者と医師のコミュニケーション~
2024年3月16日に、再発転移治療中の腎がん患者会avec(アベク)の仲間たちと一緒に、日本医科大学付属病院泌尿器科教授の木村剛先生との勉強会を開催しました。
今回はSDM(Shared Decision Making:患者・医療者による共同意思決定)を題材として、自分らしく満足のいく治療を受けるために必要なことについてディスカッションしました。
avecのホームページをご覧いただいている腎癌患者さんの参考 になれば と思い、議事録を作成させていただきましたので、是非ご覧下さい!

開催概要
日時:2024年3月16日(土)15時~17時
場所:ステーションコンファレンス東京
参加者:再発転移治療中の腎がん患者会avec(アベク)の仲間たち
日本医科大学付属病院 泌尿器科 教授 木村 剛 先生
(主催:エーザイ株式会社)
また、エーザイ株式会社さんのホームページ内「hhcDriven Innovation活動(hhc活動)」最新の活動に今回の様子が公開されました。「こちら」からご覧いただけます。2024.7.16


ディスカッションは、以下の3つをテーマに、avecの仲間たちで意見を出し合い、木村先生からも医師の立場からのコメントをいただきました。
テーマ1: 患者として、医師に副作用を伝える頻度や伝え方について心掛けていることはありますか?
テーマ2: 患者として、治療に関する知識や情報を収集する上で気を付けたことはありますか?
テーマ3: 患者として、医師とコミュニケーションを取る上で、準備や意識していることはありますか?
テーマ1
患者として、医師に副作用を伝える頻度や伝え方について心掛けていることはありますか?
【avecの仲間たちの考えや体験談】
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医師はスーパーマンではなく、患者の悩みや副作用を言わずとも分かる訳ではありません。患者側がもっと積極的に・具体的に伝えれば、改善するように考えてもらえることもあります。
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私が推奨している診察時の工夫は、診察前に準備をしていくことです。その場で伝えようとしても忘れることもあるので、あらかじめ聞きたいことや副作用を紙にまとめて診察にのぞむことが良いです。
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短い時間の中で、副作用について伝える際の工夫としては、どのように症状が始まったか、どの部位に出ているのか、何をしたら改善/悪化したか、をメモ書きして、それを用いて伝えられるように準備しました。
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医師の診察の前に薬剤師の問診があり、とても助かったことがあるので、そうした機会がある場合は活用してみると良いです。
【木村先生からのコメント】
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医師は、効果と副作用の天秤で治療をしています。効果がいくらあっても、副作用の対処が遅れたら、治療できなくなってしまうこともあります。副作用が軽度であれば減量・休薬・簡単な治療で改善できますが、重度になるまで我慢してしまうと治療が中止になったり、不可逆的な副作用でその後苦しんだりします。副作用の我慢は美徳ではありません。絶対に我慢することはやめて、副作用や症状を感じたら病院に連絡してほしいです。
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限られた時間しかない外来診察では、その場で伝えたいことを考えるのではなく、avecの方もおっしゃっていたように、事前にメモを書いておいてそれを伝えるというのはとても良いことです。
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他科への紹介は午後になると難しいこともあるので、いつもと違う、これはと思うような症状がある時には、朝早く来てほしいです。
テーマ2
患者として、治療に関する知識や情報を収集する上で気を付けたことはありますか?
【avecの仲間たちの考えや体験談】
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がんの情報に関してネットで調べられる情報は、デタラメが多いので十分に注意が必要です。国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」や公的機関のホームページなどを参考にしました。
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治療開始当初は、知識もないのでSNSやブログの情報に飛びつき、一喜一憂して躍らされてしまいました。しかしながら、患者会などで勉強して段々と知識がついていきました。
【木村先生からのコメント】
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治療の開始前に薬などのパンフレットがもらえると思いますが、そこには、服薬法、副作用、気を付けるべき点など患者さんに最低限知っておいてほしいことが書いてありますので、きちんと勉強してほしいです。なにかおかしい症状が起きた際には、症状を整理して病院に電話をかけてほしいです。緊急性や病院に行った方が良いかどうかは、医療従事者が判断してくれます。
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ネットで調べることは正しいことが書いてあるとは限らないので、ネットの情報を鵜呑みにして、間違った判断をすることがないように十分気を付けてほしいです。
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患者会に入っていない人には、1人で悩んで間違った知識や情報に頼らないよう、是非avecのようなしっかりした患者会に入ってもらいたいです。
テーマ3
患者として、医師とコミュニケーションを取る上で、準備や意識していることはありますか?
【avecの仲間たちの考えや体験談】
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医師は医療のプロであって、会話のプロではないので、コミュニケーションが上手く取れない場合でも医師のせいにせず、患者側から積極的にコミュニケーションを取る姿勢が大切だと思います。会話はキャッチボールなので、患者側からボールを投げるという努力も必要です。
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自分が目指している治療のゴールを伝えて、先生、薬剤師、看護師にそれぞれ認識を共有してもらうことも重要だと感じました。その結果、自分に合うように術式を変えてもらったこともありました。自分の考えをきちんと提示して、それに対するベストなアドバイスを提案して下さい、という姿勢を持つことが良かったです。
【木村先生からのコメント】
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患者さんと医師の間で、治療のゴールは何なのか、ということを共有しておくことは非常に重要です。私たち医療者は、患者さんに楽しく生きてもらうために治療をしています。患者さん自身の考えをしっかりと示してもらわないと、どのような治療を望み、今後の人生をどのように歩んで行きたいかが分かりません。意思が見えないと、その人に合った治療選択が難しくなってしまうのです。患者・医療者による共同意思決定をしっかりやっていきましょう